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製造業のCX(カスタマーエクスペリエンス)とは?CXの重要性や事例

更新日:3月12日





CXとは、Customer Experienceの略語で、一般的に「顧客体験」と訳されます。



顧客が製品やサービスを認知して興味を示し、購入し、利用し、解約または廃棄するまでの一連の体験とその体験から受ける印象や感情を指す概念です。


本文では、製造業のCXについて解説していきます。

 


 

目次

 



製造業のCX(カスタマーエクスペリエンス)とは?

 

従来、製造業のビジネスモデルは、「製品を売ること」をゴールにしていました。


今はインターネットの普及やシェアリングエコノミーの発展によって、世界規模で「所有から利用」へと消費動向が変化しています。

 


顧客は製品やサービスを購入する際、価格や機能や性能だけではなく、これらを利用することで得られる「体験」に価値をシフトしつつあり、あらゆる事業で、「顧客中心主義」への流れが加速しています。

 

製造業もまた、顧客の「体験」づくりに対してサポートを行うことが求められています。


顧客に継続的にアプローチすることで長く製品を利用してもらうと共に、アップセルやクロスセルの機会を創出し、収益を確保していかなければなりません。

 

 



CX・UX・UIの違い

 

CX(カスタマーエクスペリエンス)、UX(ユーザーエクスペリエンス)、UI(ユーザーインターフェース)、それぞれの違いは下記のように表されます。

 




 












CX(カスタマーエクスペリエンス)とは


CXは「顧客体験 (Customer Experience) 」の略称です。


製品・サービスなどの認知から購入の検討、購入後のアフターフォローなど、製品やサービスの利用体験だけでなく、顧客が会社との接触を通じて感じるすべての相互作用や感情、経験を含みます。


良好なCX を提供することは、顧客の満足度や忠誠度を高め、企業の長期的な成功につながります。

 



UX(ユーザーエクスペリエンス)とは


CX がより広範囲な顧客との関係全体をカバーするのに対し、UX (ユーザーエクスペリエンス) は特定の製品やサービスのユーザー体験に焦点をあてたものになります。


ある製品やサービスを通じてユーザーが受ける全体的な感触や経験を指します。


 


UI(ユーザーインターフェース)とは


ユーザーがコンピューターやデバイスと対話するための手段や仕組みを指します。


これには、ウェブサイト、アプリケーション、モバイルアプリ、デスクトップアプリ、家電製品などの画面、メニュー、ボタン、アイコン、およびその他のインタラクション要素が含まれます。


UI (ユーザーインターフェース)デザインは、これらの要素を使いやすく、効果的に配置して、ユーザーが製品やサービスを直感的に理解し、操作できるようにします。



UI はUX の一部であり、UXの一環として重要な役割を果たします。

 

 

 


CX・DX・EXの違い

















先に述べた通り、CXは、顧客(=カスタマー)としてのあらゆる体験を意味します。

 


一方、EX(Employee Experience=エンプロイー・エクスペリエンス)は、顧客満足度を測るための考え方であるUXやCXという概念を、人事領域にあてはめたものです。


主語が従業員であるか顧客であるかの違いはあるものの、基本的な考え方は共通していて、従業員が働くことを通じて得られる全ての体験を指します。

 

EXには業務を行うことで得られる経験やスキルだけではなく、従業員の満足度や健康状態、福利厚生や報酬といった待遇など、職場や組織で経験する心理的・精神的な要素も含まれています。



製造業では、人材の流動化や労働力の減少が課題となっていて、EXの向上が求められています。 


また、EXとCXの向上には密接な関係があります。


EXが高いと、従業員が企業に誇りを持ち、顧客に対し自社製品やブランドをよりよく伝え、サービスを提供したいと考えるようになり、CXの向上につながります。

 



購入動機がモノの価格や性能で決まるのではなく、顧客の体験によって決まる「顧客中心主義」の流れが加速する現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して業務の効率化やコスト削減、新しいサービスの創出を実現していくことは、企業活動において避けることはできません。



DXを推進することで従業員がよりよいパフォーマンスを発揮、その結果が顧客に還元されて初めて「選ばれる企業」、すなわち競争優位制を保つことができるのです。

 



 

製造業におけるCXの取り組み



 

製造業におけるCXの取り組みは現在、下記のような領域で進められています。

 


デジタルマーケティング

 

インターネットが日常に浸透した現在、製造業においても製品選定の情報収集手段が、検索エンジンやウェブサイトなどのオンラインにシフトしつつあります。

 

パンフレットやカタログ、あるいは自社サイトなど企業が保有するメディアやメール、広告などによる、製品やサービスの情報提供だけではCXとしては不十分です。



ECサイトや購入後に利用するポータルサイトなど、いわゆるUIを活用してマーケティングを行い、顧客と良好な関係を構築し、営業力を強化する必要があります。

 



デジタルマーケティングを推進すること期待できる、3つの効果

 

1 新規顧客の開拓


リスティング広告、コンテンツマーケティング、ウェビナーなどの施策によってこれまでリーチできなかった潜在顧客を引き付けることで新規顧客開拓を促進します。

 


2 既存顧客の商談増加


マーケティングオートメーションやアクセス解析などを用い、顧客の興味や関心を把握することで、提案の精度を向上させることができます。

 


3 社会課題の認知と共創パートナーの獲得


顧客はカーボンニュートラルなど社会的課題の解決を共に進めていくことができる相手かどうか知りたいと思っています。



ウェブサイトなどで、選定の際に選ばれやすいコンテンツの掲載と情報提供を行うことが求められています。

 


 

営業活動支援

 

CRM(Customer Relationship Management)ツールで案件情報を管理。


商談状況をデジタル化し可視化することで、顧客要求や問い合わせ、トラブルなどの迅速で的確な対応が可能になります。

 

また、CPQ(Configure Price Quote)といった見積もり支援ツールにより、見積もり業務の効率化とともに見積もりのデジタルデータから顧客ニーズの把握に繋げることができます。



 

蓄積した顧客データの活用

 

CXを通じて蓄積した顧客データを、AI技術を活用し分析。開発現場へフィードバックすることによって、新規市場の開発や商品開発に役立てることができます。

 

 



製造業でのCXの必要性




製造業でCXが求められるようになった背景として下記の4つが挙げられます。

 


顧客の価値感の変化

 

これまで顧客は、商品やサービスの性能・価格など「モノ」そのものの価値を基準に購入するかどうかの意思決定を行ってきました。


しかし、各製品のコモティディ化が進んだ現在、「モノ」そのものには大きな違いがなくなり、顧客は「モノ」の価値に加え、購買決定までの情報収集の過程も重要な要素となり、「体験」の満足度も商品やサービスの購入可否を決定する一つの要素になっています。

 


 

顧客との関係性の変化

 

一部の商品やサービスは、「買い切り型」のビジネスモデルから、動画や音楽に代表される期間利用型のサービスに移行しつつあります。

 

いわゆるリカーリング(Recurring)モデルへのシフトです。


継続して商品やサービスを利用してもらうためには、顧客との関係性を維持することが重要になってきます。

 

リカーリングモデルにおいては、継続購入によって蓄積されたデータを分析・調査することで、顧客のロイヤルティー(企業やブランドに対する顧客の愛着、信頼度)の向上を図ることができ、安定的な収益確保につながります。

 

 


SNSの普及

 

顧客がよりよい商品やサービスを体験すれば、SNS上の口コミで広がっていくため、ビジネスの拡大、利益の向上につながります。

 

 


サービタイゼーションの進行

 

サービタイゼーションとは「製造業のサービス化」を意味し、製品とサービスをかけ合わせ、新たな付加価値を提供するビジネスモデルです。

 

新興国企業が高品質な製品を安価で販売するようになり、日本の強みであった品質による差別化が難しくなってきたことから、製品販売後のサポートやメンテナンス、アフターフォローまでのサービスプロセスを「技術力」として販売、取引の継続につなげます。




 

製造業でのCXの事例

 

BtoC、BtoB、それぞれで成功しているCXの事例を紹介します。

 


BtoC

 

 


スニーカーメーカーのニューバランスは、「期間限定のアイテムをいち早く入手したい」「移動中でも買い物を楽しみたい」などの要望に応えるため、お届け先とクレジットカード情報を事前に登録しておくことで、1クリックで注文が完了する「1ステップde注文完了サービス」を導入。


電車内などの場所ではクレジットカードが出しづらいなど、ユーザーの要望に応えました。


 


シャープが販売する水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」では、ウェブでコミュニティーサイトを作り、ホットクックを使ったレシピ投稿や閲覧から、ユーザー同士の情報交換ができるトークページを構築。


ホットクックを活用した楽しい料理体験を提供し、顧客満足度を高めることに成功しました。


2015年度、約3万台だった販売台数は2019年度には累計30万台を記録しています。


 

 

BtoB

 

 


ビジネス用のコミュニケーションツールを提供するSlackは、顧客が必要としている価値を提供できているかを測定するため、顧客がどれだけSlackにログインしているか、どれだけの機能をチャット以外でも使っているか、どれだけの業務を自動化できているか、この3つの評価軸を使っています。


また、「感情」の側面でスコアの高いファンを作る施策として「チャンピオンズネットワーク」を運営。実際に顔を合わせるミートアップの機会や、成功事例などを共有するフォーラムを開催しています。


 


日本最大級の法律相談ポータルサイトを提供している弁護士ドットコム株式会社。


2019年には導入企業が3万社を突破するなど急成長しています。

この成長を支えているのがCXチームです。


担当顧客に対して個別に導入から活用までをサポートするCSMチーム、ウェビナーやユーザー会の企画推進を行うカスタマーオペレーションチーム、チャットでのサポート・多くの顧客がスムーズに活用できる環境を作るカスタマーリレーションチームにより、CXの向上を目指しています。





製造業CXを知るための本・関連書籍

 

製造業CXについてより深く知りたい方に向けて、関連書籍を紹介します。

 


 


 


 

まとめ

 

LTV(Life Time Value=顧客生涯価値)やロイヤルティーの向上、製品・サービスの改善、解約率の低減など、企業に利益をもたらすCX。

 

しかし、効果が見えづらいこともあり、CXの重要性や目的を共有認識できていないと、想定したような成果が出ず、失敗に終わる場合もあります。

 


目標を明確にし、KGI(Key Goal Indicator=経営目標達成指標)やKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)を設定した上でDXを実現、顧客データを有効に活用し、CXを向上させて利益拡大につなげていくことが求められています。

 



 

Fleacia(フリーシア)は、「Front-end Innovation(フロントエンドイノベーション)」に関連するソリューション群を統合した新時代のソリューションブランドです。


BtoB製造業のマーケティング、営業からサービスまでに至る顧客接点デジタルシフトと、カスタマーエクスペリエンスを強化いたします。





 




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