日本が再び、「ものづくり大国ニッポン」に返り咲くために――YDCは日本の製造業の変革と発展に尽力すべく、多様なソリューションとコンサルティングを提供しています。今回のコラムでは、YDCが特に力を入れている、“ものづくりプロセスの大胆な変革”についてお伝えさせていただこうと思います。
日本の製造業は、開発プロセスを変えることで、まだまだ生産性と売上を伸ばすことができる。そして、海外展開においても現地メーカーに負けることなく、受注したい商品を受注できるようになる。そんな未来を作るための方法を、近年注目されている「マスカスタマイゼーション」をキーワードに、全5回にわたってご紹介していこうと思います。
「製品を強くするだけでは売れない」という実体験
まずは簡単に筆者の自己紹介をさせていただきます。私はかつて、製造業において新規開発部門に在籍し、半導体製造装置の開発に携わっていました。
ある時、コストと時間を投じて界隈では評判になる製品を生み出し、自身でも胸を張れるものが完成した自負がありました。しかし結果として、ビジネスとしては成立しなかったのです。
「プロダクトを強くするだけでは生き残れない」と強く痛感してから、「作り方」、つまり開発プロセスそのものの変革、そしてビジネスの潮流に乗せていくことも同様に非常に重要だと考えるようになり、現在、こうしてYDCで製造業のコンサルティングに携わっています。
製造業のパートナーだからこそ生まれた方法論
YDCには、独自の概念とそれを実践的に体系化した方法論があります。それが「VCycle」。「Vision=経営視点」を持ったソリューションで製造業に「Value=価値向上」と「Victory=」(競争力強化)をもたらすという意味で、お客様の製品のライフサイクルを最適化することを目的としています。
そのVCycleを構成する2つの考え方が、SCMとDCM。
SCMは他でもないサプライチェーンマネジメント。仕入れから販売まで、会社・組織の壁を超えた連携の全体最適化を指します。どの企業でも、製造生産プロセスの効率化、改善に日々取り組まれていることでしょう。
そして、YDCが提唱するDCM。「デザインチェーンマネジメント(Design chain management)」と呼び、製造の手前にある企画・設計・開発プロセスの最適化を指します。私どもはこのDCMこそが、これからの製造業の変革においてもっとも重要で、もっとも可能性を秘めていると考えています。
DCM領域は、これまで日本の製造業でブラックボックスとされていた部分です。細部の技術情報をドキュメント化し組織で管理するだけでも困難なのに、一人ひとりの従業員の経験、実績、思考の違いなどから生まれた“ノウハウ”や“知恵”を企業の情報資産化するのは空を掴むようなもの。しかしこれらの見えざる資産を見える化し、標準化することができれば、最適な製品設計へ最短距離でたどり着けるようになります。
SCMは、ヒト・モノ・カネといった経営資源をどう投下し、いかに作るか。DCMは、属人化しがちなノウハウや知恵、過去の情報資産をどう残し、生かし、何を作っていくか。この両軸が密に連携し合い、かつCycleとして絶えず進化し続けることをVCycleと表現しています。
YDCはこのVCycle、特にDCMのコンサルティングを筆頭に、必要なシステムの構築、運用、データ分析、改善による確かな効果創出まで、統合したソリューションを提供しています。本コラム連載は、この部分にフォーカスしました。